2006/1環境省・実験動物基準パブリックコメント

環境省によるパブリックコメント(意見募集)がスタートしました。
 (2/3 18:00必着)
 環境省の規定に則り意見提出をお願い致します。

 

(当会の提出意見は以下)

 

<該当箇所>
タイトル(実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準)
 <参考意見>
 本基準は(現行の)動物愛護管理法第5条4項と第24条3項に基づく基準であるが、長らく24条3項(動物実験における苦痛の軽減)については「等」の一文字で済まされていた。今回あらためてタイトルに「苦痛の軽減」を表記して24条3項を強調することは動物福祉上大変重要なことであり、評価できる。ぜひ素案通り改正していただきたい。

 

<該当個所>
 第1 一般原則
 1 基本的な考え方
 「動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必要不可欠なものであるが、その利用に当たっては、」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき。
 「動物を科学上の利用に供するに当たっては、」
 <理由>
 動物実験の是非や価値については本基準の根拠となる動物愛護管理法にも記述が無く、本基準で突然触れるのは不適当である。あくまで法律に記述のある動物の適正飼養や3R原則を言及の範囲とすべきである。

 

 <該当個所>
 第1 一般原則
 「3 周知
 動物の飼養及び保管並びに科学上の利用が、客観性及び必要に応じた透明性を確保しつつ、動物の愛護及び管理の観点から適切な方法で行われるように、管理者は、本基準の遵守指導を行う委員会の設置又はそれと同等の機能の確保、本基準に即した指針の策定等の措置を講じる等により、施設内における本基準の適正な周知に努めること。
また、管理者は、関係団体、他の機関等と相互に連携を図る等により当該周知が効果的かつ効率的に行われる体制の整備に努めること。」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき。
 「3 体制の整備並びに基準の周知
 動物の飼養及び保管並びに科学上の利用が、客観性及び必要に応じた透明性を確保しつつ、動物の愛護及び管理の観点から適切な方法で行われるように、管理者は、本基準の遵守指導を行う委員会の設置又はそれと同等の機能の確保、本基準に即した指針の策定等の措置を講じ、体制の整備を行うとともに、施設内における本基準の適正な周知に努めること。
また、管理者は、関係団体、他の機関等と相互に連携を図る等により体制の整備並びに本基準の周知が効果的かつ効率的に行われるように努めること。」
 <理由>
 委員会の設置や指針の策定は、本基準の周知だけが目的とされるべきではなく、また実際、指針の策定は必ずしも本基準の周知につながるものではないため、委員会の設置や指針の策定(体制の整備)と本基準の周知は分けて記述するべきである。また委員会や指針の重要性にかんがみ、「措置を講じる等により」ではなく、「措置を講じ」とすべきである。

 

 <該当箇所>
 第2 定義
 (5)実験動物管理者
 「管理者を補佐し、実験動物の管理を担当する者をいう。」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき。
 「管理者を補佐し、本基準に沿った実験動物の適正な管理を行うとともに、実験動物の適正な取扱いに関して実験実施者及び飼養者を監督する者をいう。」
 <理由>
 実験動物管理者を、管理者の下で実質的に本基準に沿った適正な実験動物の取扱いを監督する現場責任者として位置づけを明確化することが、本基準の適正な運用を図る上で有意義であるため。

 

<該当箇所>
 第3 共通基準
 1 動物の健康及び安全の保持
 (2)施設の構造等
 <参考意見>
 実験動物にも他の動物と同様に、自然な行動がとれる環境やストレスの少ない環境への配慮を充実させた点は動物福祉の観点から大変評価できる。ぜひ素案通り改正していただきたい。

 

<該当箇所>
 第3 共通基準
 1 動物の健康及び安全の保持
 (3)教育訓練等
 「管理者は、実験動物に関する知識及び経験を有する者を実験動物管理者に充てるようにすること。また、実験動物管理者、実験実施者及び飼養者の別に応じて必要な教育訓練が確保されるよう努めること。」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき。
 「管理者は、実験動物に関する十分な知識及び経験を有する獣医師等を実験動物管理者に充てるようにすること。また、実験実施者及び飼養者においてもできる限り実験動物に関する知識及び経験を有する者を充てるようにするとともに、実験動物管理者と連携し必要な教育訓練を確保する等により、常に麻酔や安楽死、保定方法その他の適切な実験動物の取扱いに関する知識や技術の習得に努めさせること。また、実験動物管理者に対しても必要な教育訓練が確保されるよう努めること。」
 <理由>
 実験動物管理者は、実質的に本基準に照らした実験動物の適切な飼養保管並びに適切な科学上の利用を監督する立場となることが期待され、高い専門性が要求される。また実験実施者及び飼養者においても実験動物の麻酔や処分に関わるため、ある程度の知識と経験が要求されるとともに、常に知識や技術の習得に努めさせることが大切である。
 <参考国際基準>
CIOMS医学生物学領域の動物実験に関する国際原則1-ⅹ
「通常の動物の管理は、実験動物科学の分野で経験を持っている獣医師の監督の下でなされなければならない。必要な場合には動物にいつでも獣医学的な管理が与えられるようにしておくべきである。」

 

<該当箇所>
 第3 共通基準
 7 施設廃止時の取扱い
「管理者は、施設の廃止に当たっては、実験動物が命あるものであることにかんがみ、その有効利用を図るために、飼養及び保管している実験動物を他の施設へ譲り渡すよう努めること。」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき
「管理者は、施設の廃止に当たっては、実験動物が命あるものであることにかんがみ、その有効利用を図るために、飼養及び保管している実験動物を他の施設へ譲り渡すか、若しくは障害や疾病の程度が軽く、かつ安全衛生上問題がなく、かつ譲渡に適すると認められる動物については終生飼養を希望する一般の者へ譲り渡すよう努めること。」
 <理由>
 老齢な動物等、実験等に適さず、他の施設でも引き受け手の無い動物も有り得ることにかんがみ、安全衛生上問題の無い動物については、一般への譲渡も選択肢に含めるべきである。実験動物として多く使われるげっ歯類は近年、家庭動物として飼養する者も増えており、また一部の大学では実績もあり、制度さえ整えば十分可能である。

 

<該当箇所>
 第4 個別基準
 1 実験等を行う施設
 <修正文(意見)>
 (1)実験等の実施上の配慮 の前に、以下を追加すべき。
 「(1)委員会の構成と役割
 管理者は、次の事項に留意し、委員会を設置、並びに運用すること。
ア.委員会は、実験動物又は獣医学に関する知識並びに経験を有する者、生命科学領域並びに人文・社会科学領域の有識者、その他管理者が必要と認める者をもって構成すること。委員はできる限り当該機関と利害関係の無い外部の人間を含めること。
イ.委員会は、実験実施者に対し、実験計画書を作成させ、これを審査するとともに、(1)倫理的または科学的に適正な計画でないと認められる場合、または(2)動物の苦痛に比して重要性が低いと認められる場合、または(3)既知や類似の実験データが存在すると認められる場合には、実験実施者に対し実験方法の改善または実験内容の変更と実験計画書の再提出もしくは実験計画の取り下げを行わせること。
ウ.委員会は、当該機関の施設を査察し、実験動物の飼養及び保管状況並びに実験等の実施状況を把握して、管理者に報告及び助言を行うとともに、実験計画書から逸脱した実験等又は倫理的及び科学的に適正でないと認められる実験等については、実験実施者に対して実験方法の改善、又はその実験等の中止を指示すること。」
 <理由>
  委員会の設置自体は一般原則で定めるとしても、委員会の構成や役割については、実験等を行う施設、実験動物を生産する施設の別に応じて定めることが必要である。本基準の趣旨に照らしアは公平性、透明性の観点から、イは適切な計画に基づいた動物利用の観点から、ウは実態調査によるフィードバックの観点から、それぞれ必須である。
 <参考法令・国際基準>
SCAW(Scientists Center for Animal Welfare:北米の科学者で構成する非営利組織)
動物の管理および使用に関する委員会を効果的に運用するための勧告 4.
「委員会のメンバーには多分野にわたる専門家を選ぶことが望ましい。」
 (例として、獣医師、実験動物科学者、疼痛の専門家、地域を代表する人、人文科学・倫理学・法学の専門家、研究機関における管理者、飼育スタッフ、学生が挙げられている。)
 米国動物福祉法第13条(b)1-B
「少なくとも1名の委員は,
 委員会の委員である以外には,当該施設になんらかの密接な関係を持たない。」
 米国動物福祉法第13条(b)3
「委員会は,かかる研究施設の動物実験区域等の動物施設のすべてを少なくとも半年に1回査察し,本条例の諸規定が遵守されて動物の苦痛が最小限に抑えられることを確実にするために,査察の一部として以下の事項を検討する。
 (A)動物の苦痛が伴う慣行。
 (B)動物が置かれている条件。」

 

<該当箇所>
 第4 個別基準
 1 実験等を行う施設
 <修正文(意見)>
 上記の(1)委員会の構成と役割 の後に、以下を追加すべき。
 「(2)実験等の計画に当たっての配慮
 実験実施者は実験等の計画に当たり、次の事項に留意して計画を立て、実験動物の適切な利用に努めること。
ア.事前に委員会へ実験計画書を提出し承認を得ること。
イ.実験計画書には実験実施者、動物実験の目的及び期間、使用施設、実験動物の種類並びにその数、実験動物の入手先、動物への処置の方法、実験動物が被る痛み及び不快感の概要と苦痛レベルの分類及びその軽減法、数の削減や代替法の検討、実験終了後の処置等の記載を行うこと。
ウ.既知の研究や類似のデータのある実験等はできる限り行わないこと。
エ.野生や野良の動物、または家庭動物や展示動物由来の動物については、できる限り利用しないこと。」
 <理由>
 本基準の趣旨に照らして動物の適切な利用を確実に行わしめるためには、実験等の実施上及び事後措置の配慮のみではなく、実験前の計画に当たっての配慮を定めることが大切である。実験前の計画に当たっては実験計画書の提出、記載内容を定めることが最低限必要である。ウはできる限り動物の数を少なくすること、エはできる限り動物に苦痛を与えないこと、の観点から大切な事項である。

 

<該当箇所>
 第4 個別基準
 1 実験等を行う施設
 「(1)実験等の実施上の配慮
 実験実施者は、実験等の目的を達成するために必要な範囲で実験動物を適切に利用するように努めること。 また、実験等の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、麻酔薬、鎮痛薬
 等を投与すること、実験等に供する期間をできるだけ短くする等実験終了時期に配慮すること等によりできる限り実験動物に苦痛を与えないようにするとともに、保温等適切な処置を採ること。」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき。
 「(3)実験等の実施上の配慮
 実験実施者は、実験等の目的を達成するために必要な範囲で実験動物を適切に利用するように努めること。 また、実験等の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で次の事項に留意
し、できる限り実験動物に苦痛を与えないようにするとともに、保温等適切な処置を採ること。ただし、動物が耐えられない痛みを持続的に被るような実験等は、実験等の目的の如何に関わらず行わないこと。
ア. 実験等は原則として全身もしくは局所麻酔下で行うこと、どうしても不可能な場合は鎮痛剤、鎮静剤等の使用により動物の苦痛を最低限に抑えること。また外科的な痛みを与える処置を行う場合には必ず麻酔を使用すること。これらについては獣医学的に認められた方法を用いること。
イ. 実験等の途中であっても、動物が耐えられない痛みあるいは慢性的な痛み、回復の見込みのない障害を被っている場合は、速やかに致死量以上の麻酔薬の投与等指針に基づき、実験動物にできる限り苦痛を与えないように死なせること。
ウ. 苦痛の表明を妨げる筋弛緩薬や麻痺性薬剤を保定のためもしくは麻酔の代わりとして使用しないこと。
エ.大きな障害や苦痛を伴う実験に同じ動物を2回以上使用しないこと。」
 <理由>
これらの規定はEU指令をはじめ世界各国の法律及びCIOMS(国際医学団体協議会:WHOとUNESCOが設立した非政府組織)の動物実験に関する国際原則にも定められており、動物福祉上最も重要な事項であり、本基準の根拠となる改正動物愛護管理法第41条2項及び3項の規定(実験及び処分において動物にできる限り苦痛を与えない方法)を徹底するためにも必要不可欠な項目ばかりです。「苦痛の軽減に関する基準」の趣旨を徹底するために必ず採用すべきです。
 具体的には、アは各国の法令や基準にも倣い、実験を行う場合の麻酔使用の原則を明確に謳い、かつ外科的な痛みを与える処置を行う場合は必須であることを謳い、苦痛軽減における最優先事項を強く明確にする観点から、イはエンドポイントの見極めと処置をより具体的に定め、動物をエンドレスな苦痛に晒すことを防ぐ観点から、ウは動物が苦痛を表明することを妨げて苛酷な実験が行われないようにするため、エは同じ動物が繰り返し大きな苦痛に晒される非人道性を避ける観点から、それぞれ必須である。また、動物が耐えられない痛みを持続的に被るような実験等は、人道的、倫理的観点から、実験の目的の如何に関わらず行われるべきではない。
 <参考法令・国際基準>
 (ア)
EU理事会指令(COUNCIL DIRECTIVE 86/609/EEC)第8条
 「1.すべての実験は全身もしくは局所麻酔下で実施すること。」
 「3.麻酔ができない場合は、鎮痛剤その他適切な方法により、痛み、苦しみ、苦悶または害をできる限り抑え、いかなる場合も当該動物が激しい痛み、苦悶または苦しみを受けることがないよう保証すること。」
フランス動物実験に関する政令第3条
 「苦痛を与える恐れがある生きた動物に対する実験は、全身または局部麻酔をかけた上で、又は同類の鎮痛法を施した上で実施しなければならない。」
CIOMS医学生物学領域の動物実験に関する国際原則1-ⅶ
「瞬間的痛み、最小の苦痛以上の苦痛が生じると思われる処置を動物に行う場合には、獣医学的に容認されている適切な鎮静、鎮痛あるいは麻酔処置を行うべきである。」
 (イ)
CIOMS医学生物学領域の動物実験に関する国際原則1-ⅸ
「実験の最後、あるいは実験の途中でも、動物が耐えられない痛みあるいは慢性的な痛み、回復の見込みのない障害を被っている場合には、動物を安楽死させるべきである。」
 (ウ)
 英国動物(科学的処置)法第17条
 「a.個人免許およびプロジェクト免許により特別に認可されている場合を除き、いかなる神経-筋遮断薬をも使用してはならない。またb.麻酔薬の代わりにいかなる神経-筋遮断薬をも使用してはならない。」
 米国動物福祉法第13条(a)3-C
「麻酔薬を使用せずに麻痺させる手法の禁止」
ドイツ動物保護法第9条4
 「麻酔をかけない脊椎動物に対しては、痛みの表明が妨げられ、又は制限されるいかなる薬物も使用してはならない。」
CIOMS医学生物学領域の動物実験に関する国際原則1-ⅶ
「外科手術等の痛みをともなう処置は化学物質によって麻痺させた動物に無麻酔で行ってはならない。」
 (エ)
EU理事会指令(COUNCIL DIRECTIVE 86/609/EEC)第10条
 「とりわけ激しい痛み、苦悶またはこれらと同等の苦しみが伴う実験に使用された動物は2回以上使用してはならない。
 米国動物福祉法第13条(a)3-D
「いかなる動物も、以下の場合を例外にして、術後回復を伴う大手術実験には1度以上使用されない。(以下略)」
ドイツ動物保護法第9条5
 「脊椎動物に対し過酷な手術が行われ、又は脊椎動物を、激しいもしくは持続的な痛み苦しみ又は著しい障害を伴う動物実験に使用したときは、当該動物を、再度の動物実験に使用してはならない。」

 

<該当箇所>
 第4 個別基準
 1 実験等を行う施設
 「(2)事後措置
 実験動物管理者、実験実施者及び飼養者は、実験等を終了し、若しくは中断した実験動物又は疾病等により回復の見込みのない障害を受けた実験動物を処分する場合にあっては、速やかに致死量以上の麻酔薬の投与、頸椎脱臼等の化学的又は物理的方法による等指針に基づき行うこと。また、実験動物の死体については、適切な処理を行い、人の健康及び生活環境を損なうことのないようにすること。」
 <修正文(意見)>
 以下のように修正すべき。
 「(4)事後措置
 実験動物管理者、実験実施者及び飼養者は、実験等を終了し、若しくは中断した実験動物を処分する場合にあっては、速やかに致死量以上の麻酔薬の投与等指針に基づき、実験動物にできる限り苦痛を与えない方法によって行うこと。当該処置は、原則として獣医師又は十分な訓練を受けた者が実施し、生命活動が途絶えたことを判定できる者が、必ず動物の死を確認すること。ただし、障害や疾病の程度が軽く、かつ安全衛生上問題がなく、かつ譲渡に適すると認められる動物については終生飼養を希望する一般の者へ譲り渡すよう努めること。また、実験動物の死体については、適切な処理を行い、人の健康及び生活環境を損なうことのないようにすること。」
 <理由>
 処分方法としては頸椎脱臼は安楽死の観点から必ずしも望ましくないとの声もあるので敢えて例示を避けるべきである。また当該処置は獣医師又は十分な訓練を受けた者に限定し、かつ動物の死を必ず確認することが動物福祉上望まれる。また、実験動物といえども命あるものであることにかんがみ、安全衛生上問題の無い動物については、可能な限り生存機会の拡大に努めるべきである。実験動物として多く使われるげっ歯類は近年、家庭動物として飼養する者も増えており、また一部の大学では実績もあり、制度さえ整えば十分可能である。

 

 <該当箇所>
 第4 個別基準
 1 実験等を行う施設
 <修正文(意見)>
 上記の(4)事後措置 の後に、以下を追加すべき。
 「(5)実験等の記録管理の適正化
 管理者等は、動物の科学上の利用が、客観性及び必要に応じた透明性を確保しつつ、動物の愛護及び管理の観点から適切な方法で行われるように、実験計画書、実験終了報告書、委員会の議事録、内部査察に関する記録、教育や研修に関する記録等を整備する等、実験等の記録管理を適正に行うよう努めること。」
 <理由>
 本基準の趣旨に基づき、実験等を行う施設にあっては、共通基準に定める動物の適正飼養に関する記録のみならず、動物の科学上の適切な利用に関する客観性を確保するために、実験等に関する最低限の記録を整備することが必要である。

 

<該当箇所>
 第4 個別基準
 2 実験動物を生産する施設
 <修正文(意見)>
 以下を追加すべき。
 「(2)委員会の構成と役割
 管理者は、次の事項に留意し、委員会を設置、並びに運用すること。
ア.委員会は、実験動物又は獣医学に関する知識並びに経験を有する者、その他管理者が必要と認める者をもって構成すること。
イ.委員会は、当該機関の施設を査察し、実験動物の飼養及び保管状況を把握して、管理者に報告及び助言を行うとともに、本基準や指針に照らして適切でない状況が認められる場合には、実験動物管理者や飼養者に対し、状況の改善を指示すること。
 <理由>
  委員会の設置自体は一般原則で定めるとしても、委員会の構成や役割については、実験等を行う施設、実験動物を生産する施設の別に応じて定めることが必要である。本基準の趣旨に照らしアは専門性の観点から、イは実態調査によるフィードバックの観点から、それぞれ必須である。

 

<該当箇所>
 第5 準用及び適用除外
 「また、この基準は、畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は畜産に関する育種改良を行うことを目的として飼養し、又は保管する実験動物の管理者等及び生態の観察を行うことを目的として飼養し、又は保管する実験動物の管理者等には適用しない。」
 <修正文(意見)>
 上記部分を削除すべき。
 <理由>
 近年のバイオテクノロジーの発展を背景として、畜産に関する試験研究は農学部や獣医学部その他の研究機関で多量に行われており、量的にも質的にも動物実験の一分野を成していることから、他の動物実験と区別する理由は無いため、適用除外とするべきでない。また単に畜産に関する飼養管理の教育や育種改良に使用される動物は元々実験動物とは呼べないため、本基準が適用されない(産業動物の基準が適用される)ことは明らかであり殊更断る必要は無いため、これらも削除すべきである。

 以上