2005/10環境省・犬ねこ引取り措置要領パブリックコメント

犬ねこの保健所から研究機関への払い下げを要領から削除させましょう!

 

 今年6月に改正が成立した「動物の愛護及び管理に関する法律」を受けて、現在環境省では法律配下の様々な政省令、基準等の改正作業を行っており、最近これらの政省令、基準について、まとめてパブリックコメントの募集が開始されました。(締め切りは11/17 18:00です)

 

 パブリックコメントとは、「行政機関が政策の立案等を行おうとする際にその案を公表し、この案に対して広く国民・事業者等の皆さんから意見や情報を提出していただく機会を設け、行政機関は、提出された意見等を考慮して最終的な意思決定を行うというものです。」(総務省HPより)要するに「法律」は国会議員もしくは政府が提案しますが、法律配下の政省令や基準は、法律に基づいて関係省庁が定めるため、省庁や官僚が独善的にならずに広く国民の意見を反映するために設けられている制度です。インターネットを通して募集が行われ、メールで簡単に意見提出を行うことができます。

 

 今回のパブリックコメントの中に、昭和50年に制定された「犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領」(動愛法18条5項に基づく)があり、今回、制定以来、30年ぶりに改正されます。この要領は動愛法に基づき自治体に引き取られた犬ねこの処分等を定める大変重要な要領です。各自治体はこの要領に沿って、犬ねこの保管や公示、処分を行っています。

 

 中でもこの要領の大きな問題点として、自治体から研究施設(動物実験)への払い下げを定めていることがあります。環境省の改正素案をご覧いただけるとわかりますが、今回の改正案は、不妊去勢やマイクロチップ、生存の機会拡大、譲渡の推進、里親探しのためのインターネットや動物愛護団体の活用、等を定めたかなりのボリュームとなっており、全体的には前向きな提案と言えるかと思います。しかしながら犬ねこの引取りにおける最たる負の側面と言える、殺処分される動物の処分方法や動物実験への払い下げについては全く現状通りとなっています。

 

 保健所動物の動物実験への払い下げは、安易な動物実験を助長することになり、動物実験の質的な削減の観点から許すことができません。また、元飼い主感情への配慮や、元々実験施設に慣れていない動物のストレスや精神的苦痛の観点からも容認できません。実際、市民からの長年による自治体への働きかけにより、平成18年度からは事実上全ての自治体で廃止になる見込みであり、払い下げを復活させないためにもぜひこの項目は削除させるべきです。

 

 皆様におかれましてはこれらの点をご理解いただき、ぜひ以下の2点につきパブリックコメントの提出をしていただきたく、強くお願い申し上げます。(30年ぶりの改正の機会ですのでぜひお見逃し無きよう)

 

「犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領」改正案

 

1.研究機関(動物実験)への払い下げの記載を削除
 現在、措置要領第4では、「保管動物の処分は、所有者への返還、飼養することを希望する者又は動物を教育、試験研究若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者への譲渡及び殺処分とする。」となっています。
 動物実験への払い下げは主に、1.元飼い主の感情への配慮、2.元々実験施設に慣れていない動物のストレスや精神的苦痛、3.安易な動物実験の助長、等の観点から推奨されるべきではなく、要領にわざわざ記載されるべき事柄ではありません。実際、市民からの長年による自治体への働きかけにより、平成18年度からは事実上全ての自治体で廃止になる見込みです。払い下げを復活させないためにもこの項目の削除を求めるべきです。

 

2.処分方法の改善
 現在、保健所での主な殺処分方法は二酸化炭素による殺処分です。二酸化炭素による処分は「動物の処分方法による指針」で推奨されている方法で、麻酔効果もあるとされていますが、実際には麻酔としての効能は大変弱く、好条件が重ならないと麻酔効果が起こる前に窒息死になると言われています。実際、目視による確認でも数十分に渡りもがき苦しむ様子が観察されるとの証言がなされています。コストや人員の問題はあるにしても、30年前に比べ処分動物の数は1/3になる等、状況も変化しており、自治体によっては麻酔薬の使用を採用しているところも増えています。「麻酔薬注射による方法や麻酔薬の事前投与による方法等を用いることにより、できる限り苦痛を与えない方法で行うこと」等の配慮規定を明記し、自治体の処分方法改善を促すことが必要です。

 

※意見の提出方法は前述の環境省パブリックコメント募集のページをご覧ください。
  11/17 18:00必着です。